★予言者ワニさんカッサンドラのジレンマ?

――id:mind:20050916から、観察論理学つながり
――id:mind:20040529から、観察論理学つながり


<「ならばif(含意⊃)」か、 「ならばそのときに限りif(and only i)f(同値≡)」か
――我々は、「⊃(と≡)」に沿って、三段推論→(と可逆推論⇒)を進めていくことからすると、
 このタダの記号に、含まれる意は メタ に奥深いです ;


 ↓このパラドックスを、その下の『改正版』のと比べてみよう。
 ――こっちはクレタ人の嘘つきパラドックスに似てる。
◆====『人食いワニのパラドックス』=========================
 仁義的で有名な人食いワニCが、沼の傍で拾った赤子を噛みくわえた将にそのとき、駆け寄って来たその母Bに告げて曰く:
(約束)「さて、オレが今からどうするか、論理的に結論xしてみろ。」
    「もしその結論が「現実に正しかった」  ならば、赤子は返してやる。」  ―― Bx &x ⊃ c
    「もしその結論が「現実に正しくなかった」ならば、赤子は返してやらない。」――~(Bx &x) ⊃ ~c (対偶で同値 c⊃ Bx &x )
(併せると)「もしその結論xが「現実に正しかった」場合に限り、赤子は返してやるc。」  ――Bx &x ≡ c


――  もしアナタならば赤子を助け上げられますか?
    ---------------------------------


B: 「(……もし私が、 
    「あなたは赤子を返してくれるに決まってるわ!!」
と言ったとすると、Cが現実に、
1① 返してくれた場合 ――約束 Bc & c ≡ c は真
    私Bは正しい結論を出せたことになり、約束は正しくなる。
1② 返さなかった場合 ――約束 Bc & c ≡ c は真
    私Bは正しい結論を出せなかったので、約束は正しくなる。
 これでは、赤子が帰ってくるかはCの自由意思に委ねられることになってしまう… ; ;
                ――真理関数 Bc & cの不動点(1周期)がcと~cの2つになったということ。
    …………
    …………
そうだ、こう結論しよう! そうすれば、あの非道いワニが約束を現実に守ることは論理的に不可能になる…。何か転機が訪れるかも……
)」
B:   「おまえは赤子を返してくれないに決まってるね!! ケッ!!」        ――B~c & ~c
0① 返してくれた場合 ――約束 B~c & ~c ≡ c は偽
    私Bは正しい結論を出せなかったので、約束は破られたことになる。(もし約束を守るなら、返さないことにすべき。
0② 返さなかった場合 ――約束 B~c & ~c ≡ c は偽
    私Bは正しい結論を出せたことになり、約束は破られたことになる。(もし約束を守るなら、返すべき。
    …………
 意外にも「約束」の観念について全く誠実だったCは、カワイソウにも顎をガクガクと震わせ、
発振じゃなかった…、失神(freez)してしまいましたとさ!!
        ―― 実際(~c⊃c)≡cは恒真式。(B~c &~c ⊃c)≡cで、B~cがTの場合は左に変形できる。
        ――真理関数 B~c & ~c の不動点がcと~cの2周期不動点になったということ。
        ―― B~c &~c ≡c で、B~cがTの場合、~c≡c と変形でき、これは恒偽式⊥。

 そして、「約束」に超然とした趣のBは、その隙に赤子を取返すことが出来たのでした。(おしまい)
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(観察論理学での記号の説明)
~ 否定not
& かつ
v または 少なくとも一方が成立つ
p ⊃ q ならば pが真 かつ qが偽 ということは、ない。
p ≡ q 論理値が同値 ;p⊃q かつ p⊂q。 p&qまたは~p&~q。 pvqならばp&q。負論理でいうと~pv~qならば~p&~q。......
p !≡ q 論理値が同値でない 一方だけが成立つ ;pvq かつ ~pv~q。 pvq かつ ~(p&q)。
……
B├ …… ┤    Bの自力の記号操作(論証過程)、というかprogram Bの実行
tt 恒真式tautology 式に含まれる各々の自由変数の値がT(rue),F(alse)のどちらをとろうとも、常に論理値Tを返す論理式
→ 三段(推論規)則modus ponens    (その特殊例) ;⇒ 可逆推論、同値推論
…> 観察直観(認識規)則、観観測 ――外観:外界観察(;他者観察)、内観:自己直観






<現実に正しい結論を証明する か ただ証明(して確信)するか
 次のパラドックスを、『青玉のジレンマ』id:mind:20050916と比べてみよう。
 『人食いワニのパラドックス』には別の底本もあって(ホントか?)、これもまた興味深い。それによると、
◆====『予言者ワニさんカッサンドラのジレンマ(人食いワニのパラドックス改正版)』====
 論客として知られていたワニCassandraが、沼の傍で拾った赤子を噛みくわえた将にそのとき、
 駆け寄って来たその母Bに告げて曰く:
(約束)「さて、ワタクシが今からどうするか、論理的に結論xしてみなさい?」
   「もしその結論xが「現実に正しかった」、"ならば"、赤子は返してあげましょうc。」 ――従来版のは、「ならばそのときに限り」の意
――「Bがxについて正確(Bx かつ x)ならばc 。つまり(Bx &x ⊃c)」と約束したってこと。「 (Bc ⊃c) 」と約束するのが『青玉のジレンマ』


――  もしアナタ 「ならば」 赤子を助け上げられますか?
    --------------------------------------


B: 「(……もし私が、 
    「あなたは赤子を返してくれるに決まってるわ!!」
と結論したとすると、Cが現実に、
1① 返してくれた場合
    私Bは正しい結論を出せたことになり、   約束は正しくなる。
1② 返さなかった場合
    私Bは正しい結論を出せなかったことになり、約束は正しくなる。
 これでは、赤子が帰ってくるかはCの自由意思に委ねられることになってしまう…; ;
                ――真理関数 Bc & cの不動点(1周期)がcと~cの2つになったということ。
)」
 …とここまで考えて、
「これではどうしたって、"私が正しく答え"て、かつ、約束に基づき赤子の返還を請求するなんて不可能なんじゃないの?!」
と半端に非論理的な母親は途方に暮れ、思わず悲観的に口走ってしまいました。――論理的な結論かどうかはさておきw
B:   「おまえは赤子を食べてしまうに決まってる!! ワーッ; ;!」


この答えを受けて論理的なCassandraは、
C:「(……
0① 返した場合
    Bは正しい結論を出せなかったことになる。
ワタクシは、この場合については、明確には約束した覚えはありませぬ。
 ですが、ただし、
    「pならばq」
の意味は、
     (前件pが真 かつ 後件qが偽)ということは、ない。    ――pが偽ならば、qの値に関わらず全体が真
ということは "論理学での常識" *1
ですから、                    ☆約束は正しく守られたことになる。 他方、
0② 返さなかった場合
    Bは正しい結論を出せたことになり、    約束は間違いになる。

 この2つに1つを選択するしかなくなった今では、ワタクシが約束を守るためには、赤子を返して差し上げるほかにないわけです…。
 忘れてしまいたくはないものですね、人間という動物の感情のもつ温かみというものを…
…これからは人間どもを試すような問いを発するのは差し控えることに致しましょうか…。
……)」
        ―― 2周期不動点にはなってないってこと。
        ――約束+答えは(B~c &~c ⊃c)で、B~cがTだから、~c⊃cに、cにと変形でき、よって約束+答えが真ならcも真。
        ――真理関数 B~c & ~c の不動点がcという1周期不動点になったということ。

……その後、村人から伝え聞くところによると、論客を自認していたワニは、茫然自失した母親を醒めた目で見つめると口を開け、声にならないうなり声で呼び寄せて、自ら赤子を差し出したと云う。
 それに気付いた母親は、一瞬、何が起ったのか分らない様子であったが、泣き叫びつつひったくるように赤子を連れ去っていったと云う……。
(おしまい)
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形式論理学と、実質的な科学 (未来の予言じゃなかった予知・過去の事実の証明とか,未踏の彼岸の推測)
† < 「論理的に正しい推論」の意味、「正しい」の多義性
(科学的推測の世界)

  • 推論の仮定として、現実世界(あるいは想定した可能世界(シミュゲーとか小説とか))において、

現に「正しい」事実を表わす記号列を、"仮定命題"として入力している。
―― 観察調査により、事実を記号化する際に、捨象・抽象化が行われる。観察客体の物理状態に含まれる情報(のうちとりあえず「要らない」もの)が必ずこぼれ落ちる。id:mind:20040513

  • 現実世界(あるいは想定した可能世界)において、現に「正しい」命題、を導出するために必要な命題の凡てが、推論の前提として予め入力してある(***性?)。

―― 人類の脳味噌の集合体、図書館の神束本棚の不足、、computerのメモリー不足によって、幻想が撃ち砕かれた…。(ただし狭い領域では成立ち得る) ――『英国復興計画』?



    (狭義の形式論理学の世界)  ――やはり、これだけではツマランよね!
                  ――入力文のないprogram言語みたいだ… ;playerのいないゲーム?
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  • 推論過程において、形式的に用意された、公理と推論規則のみを「正しく」使用している(形式推論)。

    ――恣意の排除、追跡(追体験)保証性
     ――「アリストテレス以来かわらない学問」と中世学者に揶揄された論理学も、2000年経ってようやくここまで辿り着いたのか……。
    ――神託による真理の発見、の排除とも言うわけか…。

  • 推論結果が、形式的に「正しく」論理矛盾を起こしていない(整合性)。  ――「Xである」と「Xでない」が両方とも結論されたりしないこと

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――以上が現実に保証されているときに、以下が現実に保証され成立つことになっているのが、論理的推論の良いところ。
 ――論理学は科学の良き道具(脇役)に過ぎなかった。

  • 推論結果(出力)としての命題文の意味するところが、現実世界(あるいは想定した可能世界において)の事実に符合して(「真」)現に「正しい」(正確性)。――「雪が白い」は現実に雪が白いときに限り"真"なんだってさby Alfred Tarski ――「真」というのは ある記号 と その対象事実 との関係を表わす (関数)概念 なんだね ――とすると、どこかの、雪が黒いのが当然の世界においては、「雪が白い」は偽ということになる。 ――併行世界仮説か?
  • 現実世界(あるいは想定した可能世界)において考え得る、現に「正しい」命題の、凡てが、推論結果として(遅かれ早かれ)出力される(完全性)。

 たしかに現実に今日まで

        • 論理矛盾にも陥らず、
      • 全く間違いを冒さずに、
      • 期待された凡てを証明してきた

形式論理推論(computer programと言っていい)は在るだろう。だとしても、しかし、
「明日もそうである」と形式的には確証できないのが現実だった……。
        ――『人類適正化(エルビス)計画』は不発に終わる運命… ――『Destiny Plan』じゃないよww
―― 昔の子供SFでは、    ――バビル二世か??
    「コンピュータの出力結果ですから、絶対に間違いはありません。あなたはコンピュータを信じないのですか?!」
  なんて、よく言ってたよな〜。……大衆にPCが普及してから、めったに聞かなくなったけど…… ――MSの功績かwww
 --(形式論理学の世界)----------------------------------

  • 明日にはこのシステムは論理矛盾を証明してしまうかも知れない ;HAL9000?,装甲騎兵ボトムズのOld-Wiseman?
    • 入力の集合が論理矛盾を含意していることもあり得る。
    • そうでなくても、あるシステムが自信過剰なことに、自分から「明日も〜」を形式的に確証すると、逆噴射して論理矛盾を自爆証明してしまう(第二不完全性定理) id:mind:20050924

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  • 明日にはこのシステムは、不正確に陥ってしまうかも知れない。

        ――自信過剰システムに関係
―― これを認めるのが「謙虚さ」ってことか。―― そうじゃなきゃ、科学も論理学も進歩を停止してる、ってことだもんね。
    ; 今は安全正常に動いてるprogramも、明日には、ハッカーによってセキュリティーホールの仕様(バグと呼べ!)が発見されるかも知れないし。
    ;あるprogramを現に実行しないで、他の形式的programによって、デバッグができるなら、programmerなんて職業もなくなるだろうしw
        ――凡てのvirusをも完全に撲滅できることになるわけだし。>>『脅威のスキャン』の重さと言ったら……


  • そのシステムに頼ることによっては、

 永遠に証明できない、(現に真の!!)命題が、星の数より多く存在するのかも知れない。
        ――第一不完全性定理 id:mind:20050925
―― 非形式的になら、システムの無謬性や、不完全性を論証することは出来るのだが、それがデルフォイの神託や宇宙の声とどれくらい違うのかってことは、「微妙」になってくる…。 ――新しい推論原理を発明発見する人々はやはり「宇宙の声」を聴いてるのかねぇ?

 ただし、
    狭い領域では成立ち得る
 ぜんぶくれなくったって、自分らにとって大事なのの殆ど凡てだけはもらえるように、いま使うシステムを設計すれば、…まあ、…とりあえずは、いいんじゃない? 今そこに「存在する」美少女wとかが、player例えばアナタの、特定の目的?から観て、virtually realisticなら、それで十分なんじゃない?


† 自己言及や自己観察を形式化できる能力をそなえた、様相論理学を、主役としてスカウトしてきて活躍の舞台を与えると、
今のところ科学が明らかにしてこれてない、
    (内的外的)観察による、観察主体の状態変化
までモデル化できるようになる。

 だいたい、
    主体    とは、観察するモノ
    客体    とは、観察されるモノ
ってのが従来の言葉の定義だったけど、主体が主体に対する観察を始めると、
    主体    とは、主体により観察されるものとしての客体であり、客体を観察するものとしての主体
という、グルグルな定義になってしまうのだね。






どうも、
†観察論理学(造語) とは、
    観察主体までをも客体に持ってきた、新しい科学、とそのための万能道具、
ということみたいだ。
 とはいえ、そんな公演の舞台は、人類が発生した時点、
すなわち、野腐yahooだった(現在はどう?) 人々が、禁断のリンゴでもかじって
    人々が本音を隠して建前やウソをツクルことを覚え、
    人々がお芝居やマツリごとを始めた
ときから、何万年も続けてきたことなんだよね。
 それを形式化する道具を人類は手に入れる、科学の手が届かなかった人々の"心々のblack hole"らと、そういう"思惑たちの結晶体"までをも科学の対象にできないか、ってことなんだろうな。


 囚人のジレンマを解決するには、各個の囚人のジレンマの内外状況に限定されてはいても
    各個のゲームのplayerどうしが、観察論理によって、ウソを互いに見抜いて、本音を共有する
ことが必要になってくる。
―― ;『博士の奇妙な愛情…』でのSU書記長とUS大統領との電話会談はナンセンス パロディーやギャグではなく、"真面目に"興味深い
 ―― あの3人が同じ役者だなんて、気が付かなかったよぅ、


 これがもしもいつまでも解決できなかったときは、遅かれ早かれ、
    人々はプロメテウスから授かったと云う炎、すなわち科学という両刃の剣
でもって、互いが互いを焼き尽くすことになる……。    ――『APPLESHEED』がかってるねぇ


 我々は、予言者カサンドラの寒々とした唇から、その真意を読唇(得心)することはできないのだろうか??
――ワニさんたちに試されてるようじゃ……
    我々は HuMan風威奴無フウイヌムHouyhnhnm に変身同化できないのかな?
―― フェスティム じゃないよw ついでに、 音速丸 でもないww
―― より興味深い『ガリバー旅行記』が検閲されずに新大陸まで広がっていたら、
         『猿の惑星』は大衆に流行らなかったんだ……
           cf.『物語達ののぞき穴The Peephole of tales』さんhttp://www.h3.dion.ne.jp/~ojack/gulliver.htm

*1:日本語だと、 pでないならばqでもないだろう、で結局qならばp、で結局p≡q ――って裏の意味があることが多いけど。