★無垢な白箱に入れたり出したりのジレンマ

――pv40000。30000pvはid:mind:20050826


id:mind:20050915から機械と観察つながり


    「無垢な白箱」に入れたり出したり(は予測できるか否か)のジレンマ 


id:mind:20051004からのつづき
 ……(催眠術編?)
C「どうやら、Bくんには少し荷が重すぎたようだ。
それなら今度は反対に、
    君は万能道具としてのcomputerで "ある"
ことを私が実証してみようじゃないか。
 そもそもcomputerとは、
     inside ← compute(inside,outside)
さっき言った式に表わされているように、

  • 内部状態が明らかなソレに、
  • ある既知の入力を加えると、
  • どういう内部状態に変化するか(出力)が、
  • 計算computeにより機械的に予測できる関数的物体の

ことである。そういうことなら、ここで、君がcomputerの一例であることを実証するために、
    これから君が認識すること
を、悉く言い当てて行くとしよう。これは、君という物体の、内部状態の変化を、外部にある私が、機械的に予測するということだ…。」



◆観察編
†0型への招待
 --------------------------
 「ここに、1個の白箱が在る。
――C教授は、四角いテーブルの上に、大きなケーキを入れるような立方形の白箱(Blanc Box)を持ってきた。そして、
その高い蓋を外すと、箱の台座が現れた。(中身は空)
 …いいって言うまでちょっと心の中で答えててねー。
 はい、いま、
    白箱の台座に、「例の2種の宝玉」を1コづつ置いた。    ―― ポンっとなw


    「 これ と これ とが どう違うか判るかい??」<<数秒の間>>…うん、今きみは、
    「色が、赤色と、青色ということが、違う」
と思っただろう? はい、しゃべっていいよー」    ――"disclose"ね!


B「もちろん、一目見れば、「色が、赤色と、青色ということが、違う」と判ります。じっさいそう心につぶやきましたわ。…これって当てられたことになるんですか?」


C「もちろん。ほら、君は それなり の「観測装置」を身に備えているようだ!
 たとえば虹には色々な色が揃っているように、実際には、
    玉にも千変万化な色々
がある。 この赤玉だって、他の文化圏のある人から観れば、「トマト色」だか「朱色」だかと答えるかも知れない。
 ただ実のところ、この赤玉の色は、真の鳩血色(true pigeon blood)なのだ。
 ところが君は、そういう微妙な差異の情報を無視し捨て去って、ただ単純に、「赤色」という、4音節の音声記号を選び出した。これこそが、
    自然物理情報の、観察者による、とりあえず有用な抽象化
ということなのだよ! 今の場合、    ――識別作法id:mind:20040529
    「赤色」で言いたかった色は、青色ではない
    「青色」で言いたかった色は、赤色ではない
ということが、
    とりあえず、話し相手(の○○人の人間の私)に通じれば十分
だったということだ。 ○○国の交通信号を観れば判るだろう? 「青信号」は実は緑色だったりすることが。
    「虹の色が7色ある」
というのだって、○○国の文化に特有な固定観念に過ぎない。自然はもっと複雑だってのに。
    人が名付けられる色数 はたかだか 整数 と同じ数ぐらいあるだけだが、
    現実の色数      は     実数 と同じ数ぐらいある、
と言えば理論的にも解り易い。
 さらに言えば、この赤玉の色が、「真の鳩血色である」ということだって、
我々から観ればそう言えるが、他種の動物から観てもそうなのか、ということは全く保証されない、いや、むしろ違うだろう。観察装置のタイプや性能精度が異なるはずだから。」


B「…私は、○○人の人間タイプの観測装置を備えている…ということなのですか??」


C「…まぁ、そういうことにしておこうかなw
 万能道具は、
    自分の近傍にある 自然物理現象 を、
    その帰属する文化に特有の 言語 などの記号
に変換して認識することができる♪
っていうこと。    ――自分勝手にねw じゃなかった、「言語の恣意性」http://www.google.co.jp/search?num=100&hl=ja&inlang=ja&ie=Shift_JIS&c2coff=1&q=%8C%BE%8C%EA%82%CC%9C%93%88%D3%90%AB&btnG=Google+%8C%9F%8D%F5&lr=lang_fr%7Clang_ja%7Clang_en
    ―― ただし、擬音語とか、象形文字が言語の元祖だとすると、記号を完全に自由選択できるものでもない。(表現作法id:mind:20040529) これが人間という動物にとっての「普遍的な核心」、ということかな。

 -------------------------------
C「なら、次。
――C教授は、白箱のBの側を上げて、箱の中をBから観えるようにしながら、箱の中を空にして、また蓋を閉めた。そして、
――C教授は、白箱の手前側を上げて、箱の中がBから観えないようにしつつ、Bの目前で箱の中に手を入れた。(何もせず)
 はい、いま、
・   「白箱の中に、青玉1コと、赤玉1コを入れた。」
<   「白箱の中には何がありますか?」
判ったら手を挙げて。
――Bは、直ぐに右手を挙げた。
――C教授は、白箱の手前側を上げて、箱の中がBから観えないようにしつつ、Bの目前で箱の中に手を入れた。(青玉と赤玉とを入れた)
 さあ、答えて。」
B「青玉と、赤玉です。だって先生がおっしゃったじゃありませんか。」
C「非常によろしい^ ^
 君は、私が言葉に出してみたに過ぎない「事実」を「文字通り」信頼して、箱の中身を想像できる能力があると観える♪
 結局、次のことが現実に成立っている。
(Bは、0型のcomputer:)

  • Bは、Bの近傍の自然物理的事実 に含まれる情報を、Bとの関係で、形式的記号に捨象抽象化して、Bの中に取込める。

                       ――論証過程では(外部)観察則「…>」として出てくる

  • Bは、Bに、記号レベルで接続された近傍のcomputerを観察し、その出力の形式的記号列をそのまま受取って、Bの中に取込める。

                       ――論証過程では所与の仮定前提「・」として出てくる

(記号化)
青: 青玉が在る
赤: 赤玉が在る
―― Bから観察できる 外部環境領域(白箱の台座)に、青玉1コと、赤玉1コを存在せしめた。
(Bの観察認識)├
…>青
…>赤
┤
 以上より、B├青、かつ、B├赤 。


―― Bに、Bから中身が観察できない 白箱の中に「青玉1コと、赤玉1コが存在する」と告知した。
(Bの接続的観察認識)├
・青
・赤
┤
 以上より、B├青、かつ、B├赤 。


B「そこまでは納得できます。たしかに、
 慎重にcomputerと人間との比較実験を繰返し積み重ねれば、
    「同等の自然物理環境状況にある」、
*1
*2
ある文化圏の人間が認識したのと、同等の、記号列を吐き出させる、センサーのような物体を造り出すことが可能とも思われます。
*3
 また、音声パターンの認識とか、筆記パターン、印刷パターンの認識によって、
ある程度までは、自然言語の認識も現実化してきています。」


C「話はそう簡単にはいかないのだが、まぁ納得してくれるのならそれでいい」


B「それにしても、
    computerが「自意識」を持つ
だなんてことは、到底あり得ないことだと…断言したいです…」


◆論理編
C「それならば、こんどは、Bくんの、
    言葉による「自意識」 が機械的なものに過ぎない
と言うことを実証してみようか。」


†Ⅰ型への招待 
「まずは、基本的なことから。これは自意識ではなくて、
    環境世界の論理的構造
の認識のテストかな。
 ------------------------
 ここに、1個の白箱が在る。
――C教授は、テーブルの上に、大きなケーキを入れるような立方形の白箱を持ってきた。(中身は空)
・   いま私は、この中に灰玉を入れる。もしかしたら青玉も。
――C教授は、白箱の手前側を上げて、箱の中がBから観えないようにしつつ、Bの目前で箱の中に手を入れた。(灰玉を入れた)
 いいかい、
・   もし、この中に 灰玉が在る ならば、青玉も在る。
 では、
<   この中に、青玉は入っているかな?
判ったら手を挙げて。
――Bは、直ぐに右手を挙げた。
――C教授は、白箱の手前側を上げて、箱の中がBから観えないようにしつつ、Bの目前で箱の中に手を入れた。(青玉を入れた)
 さあ、答えて。」
B「もちろん、青玉は入ってます。(…先生が言ったことが正しければ。)」
C「なんで?」
B「先生のお言葉によれば、白箱の中に、
・   灰玉が在る
・   灰玉が在る ならば、青玉も在る。
したがって、
              青玉はある。
が正しいはずです。こんなの、4歳の子供にも判りますわ!
――C教授が、白箱を持ち上げると、箱の台座には、灰玉1コと青玉1コが鎮座している。
B「ほら、当たった!」
C「なに言ってるのーw? 当てたのはこっちのほうさ。君の心の中をね! なにしろ、
    君が、答えを決定
してから、その後に、
    私が、「その答え」を察知・予言して、箱の中に青玉を入れた
のだから。ほら、ここに証拠映像もあるし。
 実際のところ、この白箱は、
    君の心の中を反映した象徴的物理実体
となっている。 すなわち、私は、
    君の耳に適切な言葉を投げかける
ことにより、「君の心の白箱」に手を突っ込んで、
    君の心の中身を機械的に操作し予測した
というわけ。君がこの私を(一応?)信頼していることを利用してねw」


B:「(…このーッ!
……でもたしかに、わたしは答えを決めて手を挙げてから、その答えを変更するなんてことはしてない……。
いったん考え抜いて決めたのなら、後で新しい事実と証拠が判明するまでは、答えを変更しなきゃならない理由なんてなかったわけだし…。
 たとえ、後で先生が箱の中を弄ったとしても、それを理由にさっきの答えを取消すぐらいなら、最初から先生の言葉なんて信じやしない。
……てことは、やっぱり心を読まれて当てられてる?
 箱の中身を見せてもらえない以上、とりあえず、先生の言葉しか手がかりはないように観えるのだから、
「それだけを手がかりに」、「ちゃんと考えて」 出した答えが結果的に間違ってたとしても、それは先生の言葉のせいよね♪)」

(記号化)
灰: 灰玉が在る
青: 青玉が在る
(Bの心中の三段推論)├
・灰
・灰⊃青
  →青
┤
 以上より、B├青 。

C「私の観察が正しければ、君は立派に三段推論modus ponensを使いこなせるcomputerのようだ♪」
B「(…まじッスか〜?);」



 ---------------------
C「では次に、こんなのはどうかな?」
――C教授は、白箱のBの側を上げて、箱の中をBから観えるようにしながら、箱の中を空にして、また蓋を閉めた。そして、
――C教授は、白箱の手前側を上げて、箱の中がBから観えないようにしつつ、Bの目前で箱の中に手を入れた。(灰玉を入れた)
さて、白箱の中には、
<   灰玉が在るか、灰玉が無いか、のうち少なくとも一方が成立つ  か?」
B「そんなの当たり前ですわ! 言われる前から知っていますとも!!」
C「よろしい^ ^ 君は、恒真式 p v~p を、誰に入力されるまでもなく自発的に確証できるcomputerのようだ♪
 もちろん、どんな恒真式であれ、それによって表現される事実は何でも、たとえば

  • この箱を開けて中を実際に観察して確かめる(実験する) までもなく、また、
  • 誰かに 文字通りそのまま吹き込まれる のを待つまでもなく、

いま君がそうしたように「先験的自明に真である」と断言して一向に差支えない。」
 *4
 *5

(記号化)
灰: 灰玉が在る
(Bの心中)├
tt) 灰 v ~灰
┤
 以上より、B├ 灰 v ~灰 。    *6

C「ただし、一口に「恒真式」と言っても、
    tt) p v ~p
のような、一目で自明なものもあるが、  *7
    tt) (p⊃q) ⊃( (~p⊃q) ⊃     q )
    tt) (p⊃q) ⊃( (~p⊃q) ⊃(p v ~p ⊃q) )
のように、その「自明」性が一見不明なものの方がずっとたくさんある。
 しかし、どんなに複雑な恒真式であれ、命題論理の枠内であれば、*8

  • 一定の機械的規則に従って、それを生成する      ことができる。  ――公理と、導出規則とで、命題計算

 また、なにかしら複雑な論理式がそこにあった場合、

  • 一定の機械的規則に従って、それが恒真式か否か判定することができる。  ――真理値表とか、導出原理

そういうalgorithmが存在するのだから、遅かれ早かれ、    ――NP完全問題
私にも、君にもできるね。」    ――計算による検証可能性。


 ------------------
C「じゃあ、これ
――C教授は、白箱のBの側を上げて、箱の中をBから観えるようにしながら、箱の中を空にして、また蓋を閉めた。そして、
――C教授は、白箱の手前側を上げて、箱の中がBから観えないようにしつつ、Bの目前で箱の中に手を入れた。(灰玉を入れた)
 さて、白箱の中には、
・   灰玉が在り、かつ、灰玉が無い
< では灰玉は在りますか? 」


B「もちろん在りますとも! ええ、在りませんとも!……」
B「(@@@@!!!!)」    ――(暴走中w)
C「Oops!! ご、ゴメン、ゴメン、今の取消し!! (再起動)」
C「そうだった、Ⅰ型のcomputerは、自分が不整合に陥っても、それに気付くことすらできないんだった。
 とうぜん、⊥の取扱方法もマニュアル化(program)できるわけないんだった。私としたことが「出題ミス」か、失敗、失敗 ;」  ――ヤラセ的w ――遊バナイデyo!
―― 恒真式の論理否定が、恒偽式ないし矛盾式。逆も同様。
    ff) (p v ~p) ⊃⊥
のような、一目で自明なものもあるが、  *9
    ff) ( (p⊃q) ⊃( (~p⊃q) ⊃     q ) )⊃⊥
    ff) ( (p⊃q) ⊃( (~p⊃q) ⊃(p v ~p ⊃q) ) )⊃⊥
のように、その「自明」性が一見不明なものの方がずっとたくさんある。


 ………
B「は。先生、何か?」
C「いや、何でもない、何でもないw」
B「?」

(記号化)
灰: 灰玉が在る
 (Bの苦悶の爆発論法 )├
・ 灰 & ~灰
tt) 灰 & ~灰 ⊃⊥
       →⊥
tt) ⊥⊃灰
   →灰
tt) ⊥⊃~灰
   →~灰
tt) ⊥⊃ a, &b, &c, &d, &e, &……
┤
 以上より、B├ ⊥(Bは不整合)、かつ B├灰、かつ B├~灰 。


 ----------------------
――C教授は、白箱のBの側を上げて、箱の中をBから観えるようにしながら、箱の中を空にして、また蓋を閉めた。そして、
C「では、これは?
 白箱の中には、
・   灰玉が在る ならば、青玉も在る。
そして、
・   灰玉が無い ならば、青玉は在る。
 はい、
<   白箱の中に、青玉は入っていますか?
 判ったら手を挙げて。
――Bは、数秒の後に、右手を挙げた。
――C教授は、白箱の手前側を上げて、箱の中がBから観えないようにしつつ、Bの目前で箱の中に手を入れた。(青玉を入れた)
 はい、答えて。」
B「青玉は入ってるはずです」
C「どうして?」
B「   灰玉は在る
か、  灰玉は無い
か、のどちらかの場合しかあり得ないうえに、    ――排中律、2値論理
 そのどちらの場合にも、
    青玉はある、
と言うことですので。」
――C教授が、白箱を持ち上げると、箱の台座には、灰玉1コと青玉1コが鎮座している。
B「…ほら、やっぱり」
C「なに言ってるのーw? やっぱり当てたのはこっちのほうさ。すばらしい、けっきょく君は、
…>   観察できた色々な事実を表わす記号列 を確証し、
・   信頼する人から聞き及んだ色々な事実を表わす記号列 を確証し、
tt)   必然的に真である色々な事実を表わす、色々な恒真式 を確証し、
それらの論理式から、
→   三段推論によって、それらの論理的帰結を論証確証できる
computer、つまり"Ⅰ型のcomputer"のようだ♪ すなわち、次のことが現実に成立つ。
(Bは、Ⅰ型のcomputer:) 0型のcomputerでかつ、

  • Bは、任意の恒真式を確証する。
  • Bは、xと、x⊃yとを確証すれば、yを確証する。    ――論証過程では三段則「→」として出てくる。

 (つまり、B├x かつ B├ x⊃y ならば、B├y 。)
たとえ君が今の今までこの事実に全く気付いていなかったとしてもね!


B「…これって仕組まれた茶番じゃありませんことww?」
C「冗談じゃない。私はただ、

  • どんな主体であれ、論理的に考えをすすめようとするときには、一定の機械的法則に従うほかはない
  • どんな主体であれ、一定の機械的法則に従う物体の状態変化は、初期状態と入力とが明らかな限り、外部から予測可能であり、それは既に客体に過ぎない

ことを実証しようとしているだけではないか。

B「(……私の心の動きが予測可能?! privacyも個人情報の尊厳もありやしませんの?)」

ちなみに、

(記号化)
灰: 灰玉が在る
青: 青玉が在る
(Bの心中の三段推論)├
tt) (灰⊃青) ⊃( (~灰⊃青) ⊃青 )
・ 灰⊃青
      →(~灰⊃青) ⊃青
・       ~灰⊃青
            →青
┤
 以上より、B├青 。


(Bの心中の三段推論 β)├
tt) (灰⊃青) ⊃( (~灰⊃青) ⊃(灰 v ~灰 ⊃青) )
・ 灰⊃青
       → (~灰⊃青) ⊃(灰 v ~灰 ⊃青)
・       ~灰⊃青
            → 灰 v ~灰 ⊃青
tt)             灰 v ~灰
                  →青
┤
 以上より、B├青 。
ちなみに、
・p⊃r かつ q⊃r ⇔ pvq ⊃r ――和条件の分解
・r⊃p かつ r⊃q ⇔ r ⊃ p&q ――積結論の分解
――という恒真式は、規範の世界でも実用的なので慣れておくといい。
人間にとっては、標準型よりも、⊃や≡を中心に式を展開した方が遙かに効率的。
 和条件と積結論を分解して、積条件と和結論の形にすると、
あとは対偶変換で、項を肯否ひっくり返して左右に移動できる。
そのようにして否定を消した後、和結論部がたかだか1項であればprologで直接表現できるHorn節論理。
和結論部を1項にすると、どうしても否定が残ってしまうときは、論理的でなく手続的に否定をsimulateする… ;。

  -----------------------
――『Curry恒真式 (仮)』〜Curry's Paradoxにならない青玉問題〜
――C教授は、白箱のBの側を上げて、箱の中をBから観えるようにしながら、箱の中を空にして、また蓋を閉めた。そして、
C「では、これは?
 白箱の中には、
・   灰玉が在る 
     ならばそのときに限り、
    灰玉が在る ならば 青玉が在る。
 はい、
<   白箱の中に、青玉は入っていますか?
 判ったら手を挙げて。
――Bは、数分の後に、右手を挙げた。
――C教授は、白箱の手前側を上げて、箱の中がBから観えないようにしつつ、Bの目前で箱の中に手を入れた。(灰玉と青玉を入れた)
 はい、答えて。」
B「青玉は入ってるはずです。なぜなら、
・   灰玉が在る 
     ならばそのときに限り、
    灰玉が在る ならば 青玉が在る
 とのお言葉です。
〔*   灰玉が在る
と仮定します。すると、お言葉により、
    灰玉が在る ならば 青玉が在る
が正しくなります。 これを仮定*と併せると、
              青玉が在る
が正しくなります。〕 以上により、仮定なしに、――自然推論、自然演繹
    灰玉が在る ならば 青玉が在る  *10
ということです。
 あら、そうするとお言葉により、     *11
    灰玉は在る
が正しいです。 したがって、
              青玉が在る
ということです。」
C「Exellent!!」
――C教授が、白箱を持ち上げると、箱の台座には、灰玉1コと青玉1コが鎮座している。
C「そうそう。そういうふうに、いろいろ条件と結論の組合わせを考えることが、
    恒真式を導出する
ってことだよね。
    結論を出すのに必要な恒真式を探す *12
ことは、論証において大きな比重を占めている。だから、『よくわかる論理計算ドリル』で練習して慣れておくように。」
    ――普段の生活では、こんな論理式は一見して観えてこないもんなw
 
 
C「反対に、もし
〔*   灰玉が無い
 と仮定して考え始めてみたら、どうなる?」
B「その場合、お言葉により、
    灰玉が在る ならば 青玉が在る
が間違いになります。つまり、
    灰玉が在る ならば 青玉が在る。…ということはないです。
同じことを言い換えれば、                ――2値論理だから
    灰玉が在り、かつ、 青玉は無い です。
これでは、
    灰玉が無く、かつ、灰玉は在る
ことになって、矛盾します
〕以上により、
    灰玉が無い という仮定は不可能で、 同じことを言い換えれば、――2値論理だから
    灰玉は在る                        ――2重否定除去
ということです。
 したがって、お言葉により、
    灰玉が在る ならば 青玉が在る
が正しくなります。これに従って、
              青玉が在る
ということです。」
C「khorosho! どっちもそれなりに正しい証明なのだから、結論が同じになるのは当り前だね。
 どっちが好みか、考えてみてみてね」

(記号化)
灰: 灰玉が在る
青: 青玉が在る
(Bの心中の三段推論)├
・  灰≡灰⊃青
tt) (灰≡灰⊃青) ⊃灰&青  ――curry恒真式(仮)
        →灰&青
┤以上により、B├灰 かつ、B├青


  ------------------------
――C教授は、白箱のBの側を上げて、箱の中をBから観えるようにしながら、箱の中を空にして、また蓋を閉めた。そして、
――『Goodman 恒真式』
C「では、これは?
 白箱の中には、
・   灰玉が在る 
     ならばそのときに限り、
    灰玉が在る ならばそのときに限り、 青玉が在る。
 はい、
<   白箱の中に、青玉は入っていますか?
 判ったら手を挙げて。
――Bは、数分の後に、右手を挙げた。
――C教授は、白箱の手前側を上げて、箱の中がBから観えないようにしつつ、Bの目前で箱の中に手を入れた。(灰玉と青玉を入れた)
 はい、答えて。」
B「青玉は入ってるはずです。なぜなら、
・   灰玉が在る 
      ならばそのときに限り、
    灰玉が在る ならばそのときに限り 青玉が在る
とのお言葉です。 まず、
〔*   灰玉が在る
と仮定します。すると、お言葉により、
    灰玉が在る ならばそのときに限り 青玉が在る  ――平行対称
が正しくなります。これを仮定*と併せると、
                     青玉が在る
が正しくなります。〕 以上により、
    灰玉が在る ならば 青玉が在る
ということです。    次に、 反対に、
〔*   灰玉が無い
と仮定します。すると、お言葉により、
    灰玉が在る ならばそのときに限り 青玉が在る  ――平行対称
が間違いになります。つまり、
    灰玉が無い ならばそのときに限り 青玉が在る  ――交叉対称
が正しくなります。これを仮定*と併せると、
                     青玉が在る
が正しくなります。〕 以上により、
    灰玉が無い ならば 青玉が在る
ということです。そもそも、
    灰玉が在る または
    灰玉が無い
のどちらかは正しいのですから、どちらの場合にも、    ――排中律
 けっきょく、       青玉が在る
ということです。

C「Brava!!
――C教授が、白箱を持ち上げると、箱の台座には、灰玉1コと青玉1コが鎮座している。

(記号化)
灰: 灰玉が在る
青: 青玉が在る
(Bの心中の三段推論)├
・  灰≡(灰≡青)
tt) (灰≡(灰≡青)) ⊃青
         →青
┤
 以上より、B├青 。

C「ほら、
 合理的に考える人(々)に、
 合理的に解ける問題を与えれば、
 その合理的な答えも予測可能なんだよ!!」


―― 「無垢innocentな白箱」ってⅠ型のcomputerのことだったのかー。――「罪つき」じゃないってこと?
―― 「無垢な命題論理」とも言うか。          ――不動点の悪魔に魂を売ってないってこと?


C「けっきょく、Ⅰ型のcomputerは、
 自然界の内の
    「自分」その他ごっちゃの部分、
に現に成立っている

  • 規則を正しく認識し得るほどの恒真式の知識と三段推論能力と、
  • 事実を正しく認識し得るほど「自分の近傍」に対する観察能力と、

をもったcomputerと言える。これだけでも、お天気の観測予測機械を、科学的にprogramするのには十分な能力である。
 ただし、かわいそうなBⅠは、「自分の状態」については、何も知り得ない。
なぜなら、自分の性質や状態を表わす記号を1つも持たないのだから!
――自分が白箱の前に座っていることさえ、記号化できない。
とりわけ、上記のような自分の推論知識・推論能力と観察能力についてさえ、何ひとつ知らない!!
――その結果、観えたものが自分を構成するものなのか、外にあるものなのかにすら無頓着である。つまり、自分と、自分の周囲と、の境界を理解できない。  ―― 新生児もこんな感じ?」

B「そ、そんな〜…… ;
先生… 誰に向かって話してるの……!?」



†Ⅱ型への招待
 お掃除マシン程度なら、Ⅰ型のcomputerにも十分こなせる。

…つづく



















(1人版)
◆記号    ――観察論理学?の創設?
† 命題論理の記号
p⊃q    (原始primitive記号) pが偽であるか、qが真であるときに、真となる式。 ならば。
                               ――集合論と紛らわしい?
             ――pが真 かつ qが偽 ということは、ない。
p v q    (p⊃q)⊃q。 ~p⊃q。 または。 少なくとも一方が真。
⊥    (原始primitive記号) 任意の論理矛盾、恒偽式、falseとは⊥の値。
~p    p⊃⊥。 pの論理否定。not(p)。pではない。  ――背理法か! 排中律? ;
p&q    ~(p ⊃ ~q)。 ~(~p v ~q)。 pかつq。
p ≡ q    論理値が同値(対象)。 ;p⊃q かつ p⊂q。 p&qまたは~p&~q。  pvqならばp&q。負論理版では~pv~qならば~p&~q。......
p !≡ q    論理値が同値でない(非対称)。 一方だけが成立つ、排他的論理和。 ;pvq かつ ~pv~q。 pvq かつ ~(p&q)。


tt 恒真式tautology 式に含まれる各々の自由変数の値がT(rue),F(alse)のどちらをとろうとも、常に論理値Tを返す論理式
    ――この記号も注釈用


{命題論理について 
 観察論理学の理解には、computer言語の" if 文"が自信を持って書ける程度の論理力で十分です。述語論理も扱いません。
が、ここでは命題論理の理論的基礎と実践を包括的に説明するのには力不足なので、
 形式的にしっかりやりたい人は
参考URL http://www.math.h.kyoto-u.ac.jp/~takasaki/edu/logic/index.html
*13
*14
*15





† (様相記号)
BX    BがXと確証する。 ;BBX BがBXと確証する。 ――認識する、信じる、確信する、証明可能である ――遅かれ早かれ
(B├X  「BがXと確証する」という"日本語の"略記  ; B├BX BがBXと確証する。)
  ――確証しているからといって、それが客観的現実に合致して真であるとは限らない。



† 推論規則(の記号)
    ――programとか関数と言っていい。Ⅱ型Ⅳ型G型のように、推論規則をDATAに矮小化して自認することも可能。
    ――記号論証過程の中に示しているが、それは我々読み手に解り易くするため、という感じ。注釈入れるより一目瞭然なので。
→ 三段(推論規)則modus ponens    (その特殊例) ;⇒ 可逆推論、同値推論


(観察直観(認識規)則、観観測)
 ――"自然物理世界(とその一部たるcomputer物体)"と、
 ――              computer物体をmediaとしてその上に蠢く"記号世界"
とのレベルの差を、明確に区別することが大切。
 …> 外観則:外界観察(;他者観察)   Xという外部事実を、観察して、「X」という記号列を内部に取込むこと。





◆computerの型
<以下の能力を持つcomputer B のType階層分類
    ――下に向かうほど「万能」度が高い。外側だけでなく、内側への観察能力(自意識)も発達。
0型のcomputer:
-----------<認知能力の外側への拡張--------------------

  • (観察的:) Bは、Bの近傍の自然物理的事実 に含まれる情報を、Bとの関係で、形式的記号に捨象抽象化して、Bの中に取込める。

                       ――論証過程では(外部)観察則「…>」として出てくる
----↑↑↑↑-----------------------------------------

  • (接続的観察 的:) Bは、Bに、記号レベルで接続された近傍のcomputerを観察し、その出力の形式的記号列をそのまま受取って、Bの中に取込める。 *16

                       ――論証過程では所与の仮定前提「・」として出てくる


Ⅰ型: 0型のcomputerで、かつ、

  • Bは、任意の恒真式を確証する。
  • Bは、xと、x⊃yとを確証すれば、yを確証する。    ――論証過程では三段則「→」として出てくる。

 (つまり、B├x かつ B├ x⊃y ならば、B├y 。)
                            ――ここまでが「無垢な白箱」
----↓↓↓↓<認知能力の内側への拡張 -----------------------















(註)

*1: ここが、「自己認識」が後述のようにハッキリするまでは判断できないんだけど。

*2: さらに言えば、周りの人間などの人々が、そのcomputerを人扱いせず「囚人の奴隷」扱いするだけなら、そのcomputerは「人間と同等の環境に置かれた」とすら言えなくなる。これは人間でも同じ。たとえ人間の赤ん坊でも、人扱いされずに育てられた場合、私はその動物を人とは認めない。せいぜい人の卵ぐらいにしか。――サリバン先生に出会うまでのヘレンみたいだ

*3:――自意識の薄い、犬猫語なら、実用化はそう遠くないように思われるしね。 ――イグノーベル賞ものかw

*4: 恒真式で表わされる命題は、「必然的に真である」というと哲学的??

*5:ほんとうは、たとえ、例えば恒真式C=Cであろうとも、C=Cな事実があることと、B├ C=Cとは、天と地ほどの断絶がある。Bでなくても、我々もそれを受容れざるを得なくなる場合がある。

*6:―― B├ 灰 または B├ ~灰 とは言わない。id:mind:20050925

*7:――排中律(⇔2値論理)による証明を虞れる立場もあるけどね

*8:精確には一階述語論理か

*9:――排中律を認めない立場もあるけどね

*10:――灰玉が在る、との仮定は、青玉があること を含意する

*11:――再帰的定義の底打ち

*12:――暗闇の中で見通しもなくいつまでも手探りでダラダラと…… ;

*13:―― 慣れてくると、形式的にしか推論を進められなくなりますw

*14:――頭が固くなる訳じゃないと思うが… むしろ、「形式から意識的に外れる自由な世界」を手に入れられるって感じ?

*15:――小学生用の公文式?"論理計算ドリル"も造るべきだよな! って「小賢しい小学生」は嫌われるから教育制度に取入れないんだろうけど。and or判らなきゃネット検索もできないじゃん。国語や択一テスト対策にも絶大な威力を発揮するってのに……「親権者な人々」は考えときましょうw

*16:従来の計算機、論理機械は、これだけ。人間が主人、機械は囚人と、対等でないので、「入力」と言う言葉を使ってた。