★私って、人間?それともcomputer? ――万能道具ですか。

――id:mind:20051001から、万能道具つながり
――id:mind:20050916から、観察論理学つながり
――id:mind:20050905から、動物行動学ethologyつながり?

    "型"の自己観察は可?不可?のジレンマ、の前振り
◆私って、人間?それともcomputer?

 C教授の観察論理学classで学んでいる、Bというintern研修生が、
ある朝突然、C教授の研究室に呼び出された。…何か悪い夢の途中ではないのだろうか? なぜだか「こういう朝のできごと」の既視感を、Bはどうにも抑え切れずに「目が眩んで」いた…。


C教授がBに告知するに曰く:
「今日は、君にとって少々shockingかもしれない話をする。最後まで心の平静を保ってよく聞くように。
ときに、君はcomputerの動作原理の基礎知識は既にどこかで習ってきたよね?」


B「はい。computerというものは、厳密なalgorithmを具現化する些末なprogramを実行することしかできないのですわ。
そして、そのprogramは、私たちが意図的にinputしたDATAを受取って、処理し、その出力DATAを私たちに感知しうる形でoutputします。」


C「うーん、だいたいはよろしい。
 しかし、その考え方は半世紀も前の古臭くてカビの生えたものだ。
それは、computerを弾道計算のために電源switchを投入し、DATAをパンチした紙テープを食わせ、またパンチ紙テープが出てきたら、(節約のため)電源を切って、おもむろにその紙テープの解読にとりかかる、そんな時代に考えられたモデルだよ。――たぶんw
 そんな考え方では、地球人口より多い個数のcomputerたちが常時稼働し、あたかも自律的に、リクエストされたまたはされてない仕事をこなしているネットワーク社会を実状に沿って分析するには不適切だ。
 どこが不適切かというと、


1. programの受取る入力であるが、これは、何も私たちが手を汚して予め用意する必要はなく、computerに用途に応じた 観察装置 を取付けておけば、後は勝手にcomputerが「自発的に」、有用なDATAを観察して、取ってくることができる。これは、network上の記号DATAだけに関わらず、物理的自然世界(我々の人間社会をも包含する)からナマの状況を観察し、「目的に応じた有用性」という何らかの基準に従って情報を捨象抽象化して、記号や数値DATAとして取出してくることができることを意味する。;スパイ人工衛星の地上撮影写真とか、ネットカメラ



2. computer programの実行について、重要なのは、
    既に存在している形式的規則に従い機械的に、次の状態が決定されるautomaton
ということである。
 これによって、その動作つまり状態推移は、外部の者からもある程度予測できることになる。


 また、その実用的な意義は、
    algorithmの発見された問題しか解けない
のではなくて、
    algoritmの発見された問題ならば必ず解ける 
ということある。そして、
    その他にもできることがある。

  • 試行錯誤 とりあえず、できるかどうか、やってみること。そして、懸案の問題が実際に解決できてしまったならば、たとえalgorithmに書き下せなくったって、「computerによりその問題解決が可能であった」ことを証明(実証)できる。 ――案ずるより産むが易し……(って、こともある)ってこと。
  • 試行錯誤の無限ループ 何か解決すべき問題はないかと、無限ループを走らせておくことが出来る。これは、BASICでもLispでも、普通のinterpreter-programがやっていることである。event-driven方式といってもよい。 ;地上からのcontrol手段が途切れたMars-Explorerを想起せよ


 これは、「目的」に応じた、観察装置の、取換えとか「発明」と最適化までをも含む!



3. 出力についてであるが、実は、computerがcomputerであるためには、出力装置は必要ではない。
 あるcomputerが記号数値処理を実行し何らかの結論状態に到達したのに関わらず、なにも外部には記号DATAとして出力しなかったとしても、computerはcomputerである。
たとえ、それが我々人間の何の役に立たなかったとしても。
――cf. PTSDで以後死ぬまで外部には一言も喋らなくなったって人は人さ、内なる言葉を吐き続けている限り。
――絶望病は死に至る病、希望病は最後に罹る病。それが「人であることを止めない」って意味か。


 あるcomputerを、外部のモノが何かの役に立てようとするならば、その結論というか状態変化を読みとる必要があるが、それはそのcomputerの責任ではなく、それを観察する外部のモノの責任である。そして、computerが結論を出したというのは、computerという物理実体の状態変化であるから、優れた観察装置を工夫すれば、完全に読みとれることもあるし、少なくともある程度は読みとれるのである。――;我々の大脳が、考えている内容により血流や温度の局所的変化をもたらすことを想像せよ。あるいは、動物の表情の変化とか――  読みとられる側に出来ることは、それを、discloseして読取り可能にしてあげることぐらいである。
 そうして、あるcomputerの記号状態の変化が、物理状態の変化となって表れ、それを観察する我々の大脳の記号状態の変化につながることになる。
 驚いたことに、そういう観察、記号化ができることは、他のcomputerでも同じである。なぜなら、computerに入力装置として適切な観察装置を与えておいたから。


 もちろん、computerどうし、あるいは私たちと、共通の記号(自然言語とか、文字コード、通信protocol)を用いることを約束して、脳内の記号を記号DATAのままdirectに送受信した方が、遙かに効率が高いことは当然である。しかし、いつでも、上の原始的方法によるcommunicationという「底」は保障されている。我々は、言葉の互いに通じない外国人や未開の人々との間でも、感情の相互読取りと共有、ひいては未知の言語の習得ないし共同新造までをもが可能ではないか! ――それは、人間という動物のcomputer hardwareが共通なので;-) ――body languageでも、「以心伝心」でも



4.  総合すると、任意のcomputerは、それぞれ個性を持った1つの関数のように働く物理実体である。つまり、
     inside ← compute(inside,outside)
 この式の表わすところは、そのときのinsideの記号状態とそのときの外部観察により取入れた記号outside を、各々個性的な状態変移規則(関数定義式と言っていい)に従い、機械的に計算(compute)して、次のinside状態が決定される、という物理モデルを考えることが出来る。これは、記号状態の変移の式でもあるし、そういう記号の基底としての物理状態の変化でもある。 ――紙に書かれた文字という記号で言えば、インクのシミの状態変化ってこと。
―― 自律的なmicro machie agentって、こんなもんなのかな?



5. このように考えると、
    我々人間が中心にいて、その中のある者らが、それぞれ別々のダルマcomputerと星形につながっている
ようなモデルではなく、    ――達磨さんは、自分で動くことも、自発的にDATAをとってくることも出来ない ;某MZの愛称?
    我々も、数々のcomputerも、平等な立場(共通のinterface)でぐちゃぐちゃにつながる状態
をモデル化することが出来る。  ――電脳社会?
 我々も情報処理機能としてのcomputer,シリコンと電気で動作するcomputerもcomputer^ ^
私は、そういう、観察装置もコミになったcomputerを、
    万能道具としてのcomputer
と定義したい。


 え、「我々」は、存在ソノモノに意義raison d'etreがあるのであって、何ものの 道具 なんかじゃないって??
うん、そう言いたいならそれでいい。
 しかし、実体としての1コの全体たる人間生物に限定して考えるとき、その1コの全体が存在目的であるとか道具であるとか議論しても空回りするだけだ。人間の、部分としての 手 が 人間全体 のためにモノを食べさせたり敵を殴る道具であり、人間の眼 が人間のためにモノを観させる道具であるのと同様に、人間の大脳 は「思考」という名の記号操作により人間全体を統御させるための道具である。まあ、おおざっぱに言えば、大脳は人間の主であることもあるが、それでも道具であることには変わりないってこと。 ――大脳が未発達な爬虫類とか鳥類の脳を観察すれば判るだろう。――PCでいうと、CPUが主なのか、HDDが主なのかって、どっちもシステム全体を不完全にせず全うするための道具には変わりないじゃない?
 けっきょく、これまで我々人間という動物は、そのさまざまな欲求、危険回避欲(恐怖)、排出欲、食欲、性欲、母性本能 etc, …を叶えるために、その「欲求実現のための判断道具」としての 大脳 を肥大化させ、進化を続けてきたのだ。
 そしていつしか、大脳という道具は、進化しすぎて、機能に余裕「遊び」が出てくる。しかも、大脳の提供する機能は、極めて一般的な記号処理機能であり、色々なことに転用できる普遍性を備えていた。そんなとき、とりあえずの欲求が満たされた上で、まだ時間に余裕があったときになされることは、その観察論理機能でもって積極的に試行錯誤し(遊んで)外界との比較において自分を観察し「自分の動作原理」を発見・蓄積・再利用することだったのだ。  ――「自分探しの旅」…かよw
 こうして、大脳は、タダの道具ではなく、自意識を持った自律的な 「万能道具」 となり、いつのまにか主だった動物との主従が逆転することになる……。
――我々は、
    実体としての「自分」の内に、動物的欲求(≒感情)がわき上がってくる
ことを感じることは多々あっても、
    「人としての"自分機能"」(ghost?)がここに在る動物に寄生している理知的道具である  ――『寄生獣』というMANGAを想起せよ
ことを実感することなど、全くない!! でもそれは真実じゃないんですか?
*1
*2


―― 万能道具の別名を「人」という。私は、今この地球上に繁栄している動物としての「人間」と、純理性的機能を行う存在としての「人」という用語を区別して用いることとしている。



C「…… なぜ今こんな話をしたのかというと、君を失望させないためだったんだ、Bくん…。(ぁぁ〜やれやれ。「C教授」を演じるのも疲れるなぁ…w)
 まあ、それはいいとして、さっき掲げた定義による
    万能道具としてのcomputer
に、君は当てはまるかな?
 もしそうではないと思うなら、


    自分は 「最高かつ対等な個人の尊厳」 を抱えた 1人の自由な人間 である


ってことを自分だけで証明してみたまえ!!」    ――『人間の証明』w?



B「…そ、それは……
 いままで、自分が人間だってことなんか当たり前だと思ってたけど…。
    私がcomputerに過ぎない
ですって? 私はこんなにも世界をリアルに感じてるって言うのに!
こういう感じは冷たいcomputerなんかにわかるはずないよね?
 でも、それを誰かに論理的に説得しろ、だなんて。
    だって、あなたもそう感じるでしょ?
それ以上にどんな言葉が考えられるって言うの?
 まあ、私は望遠鏡がなければ駅前の出来事すら観えないし、
顕微鏡がなければ自分の体が細胞で出来ていることすら観えない。
もっと自分から離れてる出来事はと言ったら、他の人から「言い伝え写し伝え」で教えてもらうことしかできないんだ…。
 ……もしかして、他の人には感じられている「アノ感覚」を、私は感じることができてないってことも…?



 たしかに、いま私は、こんなふうに言葉で考えてる。
    われ考える ゆえに われ在り
デカルトさんの言葉ね。考える自分を自己認識できれば、
    私は人間として存在する
と確証していいってこと?
 それがcomputerにはできない、私のチカラ?
 でも、それを誰かに説得? 言葉で?
その言葉が 私 の言葉であり サクラ の言葉なんかじゃない、なんて、どうやって相手に説得しろっていうのよ?
    「ワタシは、サクラprogramなんかじゃないから、安心してね!!」    *3
て言ったら信じてくれる?!



 けっきょくは、
    私が「人間だ」と認める人々から、「あなたも私たちと同じ人間だ」と認めてもらってる
ことを証拠として示すぐらいの方法しかないってこと?    ――成人式の通過儀礼とか、主権国家の相互承認みたいねー
…周りの人も何の不自然もなく私のこと「同じ」仲間と認めてくれてるし。
 でも、世の中には、周りの人々から完全に平等な「同じ仲間の人間」とは扱われずに差別されてる、外国人の難民とか奴隷の囚人さんとかもいるわけよね?
 私は、その人たちとどう「違う」って言うのかしら?    ――そもそも、<「同じ」って何よ。
 私は周りの人から「○○人どうし」って認めてもらってるところが違うってこと? でも、
 ○○人って、○○国籍を持つ人々? そんな形式だけみても何も解らない…
 ○○人って、○○人を親に持つ人々? これって循環定義じゃないの? 内容が空虚だわ……
 ○○人って、○○の地で出生した人々? これも、私が選んだ訳じゃないし…。てことは偶然により、私は奴隷の囚人として生まれてくる可能性もあった…?
 もしかして、そんなふうに人間を差別したりできるような人は、そもそも
    温かみにあふれてるはずの「人間」
なんかじゃないのかも……、てことは私も…??」    ――グルグル@@



C「だいぶ混乱しているようだね? (まぁそうだろうよw)」


…つづくid:mind:20051008

*1:もっとも、誰かの道具として死ぬまで生きていくことに喜びを見出す人々もいるのだが… ――『機械の体』をもらって強くなってもねー

*2:まあ、先を争いひたすら地球系のenergyを解放し続ける「寄生獣」たちを自然に産みだした地球の「意思」も謎だけど…

*3:これって、現代のturing testだな ; それを言うと、囚人のジレンマゲーム自体がTuring testそのもの。だって私は相手が「人的」じゃなかったら、100%「裏切る」もの。