皇帝ジャンケン大会?

id:mind:20040415で観論ジャンケンについて書いてきてみたが、
これはしょせん、頭のいい人にとって無情報?ゲームに落込みかねないジャンケンを、
普通の不完全情報ゲームに留める手がかりを与えたに過ぎないようだ。
 観論ジャンケンにおいても、ランダム最強論者は、
    ランダムが最強なのでランダムに決めた
と理由欄に毎回同じ記載をするだけで観論ジャンケンのルールに形式的に適合する
ことができる。
そのことによって、相手になるべく情報を与えないように振舞えば、
観論ジャンケンも無情報ゲームに近づいてしまう。


 それもこれも、ジャンケンにおいては ランダム戦略 という
ミニマックス戦略 相手の選択に関わらず保証しうる最大の利得を確保する戦略
があるからである。
 しかも、このランダム戦略は、
    ランダム
という概念を良く知らない小学生でも、若干の経験を積むことによって、
直観的に理解することが可能なようである。
――実は、ランダム、って何なのか私は20才ころからよく分からなくなってしまったんですよ。
――すくなくとも、凡ての、有限数列は一定の数式から生産できるようですし。


 ここにおいて、リスクを嫌うplayer、risk averter がいたとき、
彼が「自分が相手よりジャンケンが強い」、という確信がない場合、
彼がランダム戦略を採らない理由はないように見える。
 risk averterとは、たとえば、1/2の確率で2万円の賞金がもらえる
という1万円の宝クジ(ジャンケンとは違い、全く偶然で決まる。)
は絶対に買わないという人である。
 反対に、risk loverとは、他に買うものがなければそういう宝クジに全財産を
つぎ込んでしまうような人である。
 risk neutralとは、その真ん中で、1万円とさっきのクジについて無差別に感じる人である。
 risk averterが不幸にも、参加権1万円払い、賞金2万円を賭けた 対戦 ジャンケンゲーム
に参加しなければならなくなった場合、採りうる作戦は、
a. ミニマックスをplayして確率的な期待値である1万円を取戻す。
b. 化かし合いのカオス ――相手が自分よりジャンケン達人であれば予測不能
  ただし、相手がミニマックスをとるならa.と同じになる。
だが、どっちを採るかは明らかに前者である。


 ここで、実際の人間という動物の習性について、
    失う可能性のあるモノが全財産に近ければrisk averter的に行動する
という普遍的?法則があるようだ。
 たとえば、全財産1000万円(無職)の人は、前記の宝くじを1000枚買う、
ようなことは決してないであろう。寺銭とられないから確率的な期待値は同じなのに、である。
 これを利用して、ほとんど凡ての人にランダム戦略を採用させるような、
つまらないジャンケン大会が開催できる。
 つまり、参加者を1000人集め、
    ビリになったら、999万円を支払わなければならない。
    ビリでない人は、1万円を受取ることができる。
 1000万円というのは多くの日本人にとって全財産の相当部分であるから、
参加者はrisk averter的に行動することが予測される。
これはジャンケンにおいて誰もをrisk averterにする仕組みだと言えよう。


 とすれば、誰もをrisk loverにしてジャンケンでランダム戦略を
自然と採用しないようにする仕組みとは、
......もうお分かりですね♪
―― 本当にやったらお上に逮捕されちゃうよw 実際の麻雀コンテストも、これで流れたそうだ。
――射幸的だし「「偶然のユエイ」が介入しているから」らしい。
―― ランダムではなくても完全予測の不可能なカオスに物を賭けると引っかかっちゃうみたいね。
――そうだとすると、投機家はみんな刑務所ゆきだな。w
―― ただし、もんた と喋って1000万円もらうのは合法的ならしい。不思議な国だ。
――保険屋さんも自分が「賭博」師ではないと証明できないとヤバそうね(爆
――誰もが「もんたは犯罪者じゃない」と思ってる?から、実際にも もんたは犯罪者じゃない のだろう。たぶん。パチンコも。ヘアヌードも。
――な〜んか超あいま〜いwって、"規範的法律概念"と言うんでしたっけ。
―― アレッ? 著作物を「私的利用」のために複製するのは?
――同居の家族のためだけ? 友人も良いの? ネットの知合いは?......
――ここらへんに"抵抗"の余地ありそうですねw


 ジャンケンは、利得表からはzero sum gameの代表に思われているわけだが、
実際のジャンケンは、人々の効用関数に従うので、必ずしもそうならない、ということを示唆している。
 子供はカバン持ち程度でもジャンケンを楽しめるが、
大人は酒が入って野球拳でもするのでなけりゃ楽しめない、というのでは
かかるモノが大きくないと勝利への執念がなくなっていく、
ということで、ゲーマー魂としては遺憾のイなモノがある、啓蒙啓蒙