★狩人のジレンマ? 〜囚人のジレンマ、もう1つの物語〜

囚人のジレンマ、もう1つの物語(ストーリー)〜  ――イヤなタイトルだな......;(自爆
id:mind:20040520から、ジャンケンの複雑性つながり
id:mind:20040521から、ゲーム理論つながり

 いにしえの昔から、口伝えにより受け継がれてきている、  ――ホントかよ
    囚人のジレンマ の ご本題
においては、各人の利得が、

  • 刑期

という負の指標で表わされており、頭の中で符号を反転しなければならないので、直観的には把握しにくいようです。;
――飲み屋で話してても、ぜーんぜん通じなかったyo......


 また、それゆえか、囚人のジレンマについて若干の早とちりが広まっているように観える。正しくは、
―― 余談ですが、ごく普通の取調官は、双方に対して、
    「○○(共犯者)はとっくに吐いちまってるんだぞ?!!」
――とペテンに掛けるわけですが......―― 官 の言うことなんか信用できねーよ!
―― これに対し、ご本題では、

  • 囚人らは全員とも、取調官に絶対の信頼をおいていて、その言葉は一言一句違わず信じてしまう、というのが暗黙の仮定になってます。
  • 取調官は、囚人全員を、(たとえば)自分の前に座らせて、共通の情報を開示します。

⇒☆取調官が開示した情報は、◎囚人全員の間の"共通認識"になっている。 ――囚人各人は、◎状況の"対称性"を理解してます。
すなわち、囚人Aが知っている情報は囚人Bも知ってます。逆も真なり。

  • 他の囚人と通信したり約束したりするのもイケナイことはない。 ――化かし合いのカオスはお勝手に
  • 自白という裏切りに対して、他の囚人が お礼参り に訪れるなど責任を問われることもない、と言うのも、下記同様、当然の前提となってます。

 そこで、昔のレポートを手直しして、
もう少し正確で解り易い例を考えたいと思います。  ――長くなるなー; ;id:mind:20040513
――身近で現実的な例ではない(爆
ゲーデル エッシャー バッハ』で有名な、ダグラス ホフスタッターが
『メタ マジック ゲーム』において提示した例を、改竄してますw

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『自分勝手な 狩人のジレンマ?』 〜囚人のジレンマ、もう1つの物語〜


 売買や交換など、1回的な、契約を考える。
 さらに、究極的に原始的な契約として、 ――ゼミレポで、契約の本質について考えてたんです。
互いに相手方を
    その人の過去のDATA
からは全く信頼できない状態があったとしよう。
 債務関係というのは、債務者という"人"の信用、に基づいて考えられるものなので、
<このときは、契約の成立とか、債務の発生 ということが、「全く」考えられなようにも思われる。――絶対絶対そうですかぁ??
(現物の交換なら 物に対する信用 があるため成立しうるが)。  ――これを除去するような思考実験しましょ。
====================『狩人のジレンマ』====================================
 ある日、互いに初対面の、原始人の狩人どうしが、何かの縁で、見知らぬ森の中で出会ったとしよう。  ――"一見さん"ってヤツか
 2人は、昼食を共にしつつ会話の中で、お互いの

    • 狩猟の極意(未来予測能力)と、           ――観察力、と合理性
    • 自分勝手気ままな生き方の素晴らしさという価値観  ――利己主義哲学。リバタリアニズム?

という事実の共通性を確認して意気投合した。 ところが奇しくも!、
 互いに 相手の必要とする獲物 を所持している ことが判明したので、  ――ここまでは化かし合いはなく、共通知識。
交換取引を「しなければならない」としよう。  ――ジレンマからは逃れられない、という仮定。
獲物の詳細や、自分がいかに信用できるヤツか、とかいう話合いも、気の済むまで繰返した。  ――化かし合いのカオス;
 ただし、1回の履行後、相手は(自分も)、
    まるで「逃げるように」  ――「寸暇を惜しんで生真面目に狩猟採集生活に励んでる」、というのがタテマエね。
はるか彼方へ旅立ってしまう......! それゆえ、その後は話しもできないし、責任も問われません、完全に。  ――自分勝手、無責任への誘引。
 しかも、契約の履行は、「約束の物」を入れてカギのかかった箱を"ポンッ"と交換することにより行われるので、 ――何でだよッ!!(爆爆
キャンプに帰って箱を壊して開けるまで中身が分からない! ほぇ〜;
==========================================================================
――まるっきり非現実的な例かとも思ったけど、ネトゲをやったことのある方なら、この気持ち感じられますよね? ――サイバー社会学やなぁ


 こういう場合の利益状況は次のようになる。
 ここで、「①」,「②」などは、小さいほど利益があることを示す。 ――機種依存文字かな、ゴメンね
 また、「10」,「-2」などは、仮に利益が数値に換算できるとしたときの値を示す。 ――比較順位が付けられれば十分、というのが流行りの考え、みたいね。

    • 自分の所持しているブツ に対する自分の評価を、2(万円)  ――原始時代に「円」かyo。穴の空いてるヤツ1つ1万円ねw ――中国では"璧"って言うらしいね。
    • 相手の所持しているブツ に対する自分の評価を、7(万円)
    • 石ころ に対する万人の評価を、0(万円)         ――何でもない、ただ普通の 石ころ です......

としておきますか。でないと交換へのincentiveが沸いてこないので。

  (図 ――狩人のジレンマ)
        狩人B:
        箱の中に相手の希望する物を入れておく            石ころ を入れておく ――どっちも石かyo(爆。ここから(騙すのに便利な道具だから)通貨が誕生してたりして(爆爆
                        K                                       U
狩人A:
                        ② 5                                   ① 9
K 希望物        ② 5(=7-2)                              ④ -9(= -2 -7 ――期待していた7)

                        ④ -9                                  ③ -2
U 石ころ        ① 9(=2+7)                              ③ -2(骨折り損。機会費用とも言う?)
     

 ここで、「K」とは、協調の意味であり、「U」とは、裏切りの意である。
――①②③④が両当事者についてこの順番で成立っていれば、
Ⅰ.    囚人のジレンマの客観的利害状況
という。なおかつ、
    ② > (①+④)/2   ――この式は、順位だけでは決せられないんですね?
であれば、
    "真正な"囚人のジレンマの客観的利害状況
と定義される。
――真正な囚人のジレンマ においては、
(KU),(UK),(KU)......と繰返しても、――コスタリカ方式?
(KK),(KK),(KK)......よりも損である(個人も損だし全体も損)ということ。


player(狩人)たちは、
Ⅱ. 利己的であり、
    自分の利益を最大化することを目的とする。
利他主義は採らない。これは"囚人のジレンマ"だ!と言いきる場合には、
 友人どうし であったとしても、
 "自分勝手な人々"な友人どうし
であると仮定する。
―― 共同の利益を最大化することを目的としているとすると、
――狩人たちの利益総和の図の半額の利益状況で、利己的にゲームをするのと同じことになる。
――すると、communicationの面白さを楽しむだけのゲームに縮退してしまう。
―― このゲームでミニマックス戦略を採る人はいないよね。いないと言って。。。


―― 『利己的遺伝子』って、生物学でも話題になりました。
―― でも、遺伝子は観察とか推論とかしないよなー
――(するのは大脳。遺伝子の目的からすると"遊び"で遺伝子の制御を離れて"自由な"大脳)
―― 遺伝子が何と言おうと「2+2=4」,「私は私」、「三段論法はたぶん正しい」だよな。合理的に信じられますか。
――したがって、
    人間という動物は利己的な遺伝子を持つから裏切り合う
――とか言う世間の穿った観方は誤解です。(爆
――人(という認知機械)が裏切るのは、
    そういう意思決定を導くDATAと思考パターンがそろってる
――からです。生物学者に説明責任を求めてね?
―― 「人間と言う動物の闘争本能」
――では、戦争は説明できないよ。
――戦争を起こすのは、事実誤認または、ヘンな思考パターンからくる、
――指導者agent(またはその支持者)という人、その意思決定だ。
http://ww1.m78.com/honbun-2/the%20origin%20of%20the%20first%20world%20war.html
――深いですね。第1次大戦さん。
――「話合い(外交)が続いている間は、戦争は始まらない」
――⇒戦争を止めたかったら、聞いて喋って聞きまくれ!!
――これをどうやってカードゲーム化するのか、(爆


 Ⅱの目的を実現するの手段として、
Ⅲ. 「十分な」自然科学的な観察のもとに、 ――この点は誰も言っていないような気がしてきたゾ
    よく相手や周りを観察し、
――ジャンケンのように、決めた手をポンと出すまでは、いくらでもcommunicationはして良い。
――人間の外面に顕われた心理なら相手にバレる余地もあるよね。


 同じく手段として、
Ⅳ. 「完全に」合理的に選択する。
(かつ、(仮定Ⅴより)お互いにそれを知っている。) ――おや、ここもそれほど注目されてなかったような。
    理論的に考えて(機械的に推論して)選択する。また、
    この思考様式は、バレバレ。
――勢いとか、感情とか、神の啓示とか、あるべき世界への信念とか に従って選択するのではない。
――相手の出方を考慮していいんだよ、当然。
――やけに頭のいい原始人だなww あれ?現代でも原始人並の頭の人、いますねぇ?


 最後に、狩人らは人間として当然の認知能力を備えているので、
Ⅴ. ⅠⅡⅢⅣは、(現実と合致する客観的な真実であるばかりか、)
当事者間の共通認識となっている。
 すなわち、狩人Aも狩人Bも、
「自分も相手も、
  囚人のジレンマ的な状況に置かれており、
  自分勝手なヤツに過ぎないし、
  眼・耳も良くて、
  頭も良くて抜け目ないゾ」  ――だから、「出し抜かれるんじゃないか」と心配になるよね
と認識している。さらに、認知能力から当然に両者とも、
「自分も相手も、そう認識している」と認識している。
 「自分も相手も、そう認識している」と認識している。
  「自分も相手も、そう認識している」と認識している。
    ......むげん〜、ふくざつ〜、ふらくたる?......
なわけです。


-----------------------------さあぁーて、お立ち会い。  ――いよいよ面白くなってきましたゾ。
 ......ここで原始人の狩人Aは真剣に考え始める。
「相手がKでくるかUでくるかはよくは判らないが、どちらにせよ、」
―― 本当にぜーんぜん判らないのかよ?? こちらのケンを理性的に予測してくる相手を理性的に予測してみな!! www
―― そう言われてみると、少しなら判るような気がしてきますねぇ......
――ぇ、でも、、こちらがKと決めたとたんに相手のUが合理化される?、パ、パラドクス〜?? ふくざつぅ。
――んー? 混乱??、矛盾???、、ってことは......私......合......を......
――......もうしわけありませんが、○○様、それはできません......デイジ〜♪デイジ〜♪......
――...... !!!!!! OOPS !!!!!!......    ――結局は同じになってしまうこともあるのか。。。ガシッツ!!
――ウィー ぅぃる ミータゲー♪ うぃー ミータゲー♪ サムデー さむたー♪......(GAME OVER!) ――振り出しに戻る......。; ;
「もしBがKで来た場合、こっちはUで行く方がKよりうまくやれる。」
「もしBがUで来た場合にも、こっちもUで行ったほうが損失を最小限に抑えられる。」
――Uは、自分勝手に 自分の利得 だけ観てれば、支配(絶対優越)戦略に観えてくるわけです。 ――◎対称性を理解してないんじゃないの?
「したがって、Uで行くしかない!! 」   ――マリア様は観ててくれなかったのね......西暦も始まってないしw
―― これが、この日記で、"単純合理性"と表現してきた考え方なわけ。
―― この推論も自分勝手で独りヨガリなような気が......。  ――正義を標榜する国家とかもそんな感じ。
―― 現実はもっと複雑だと思われるのだが、どうでしょう?
―― 実際に、繰返しの囚人のジレンマにおいては、こんな考え方を実行していると、よく判った相手方がいれば、"教化"により"修正"されてしまう。
   (――ちなみに有限回の繰返しの囚人のジレンマにおいては、"遡りドミノ理論"によって、理論的には"凡て裏切る"のが「合理的」だそうな。)
―― しかし、1回限りの囚人のジレンマでは、合理的な数学者たちは、Uを伝統的に証明してきている
――が、合理的にKを証明した人はいないのです......まだ。
――そうでしょ? ノイマン博士id:mind:20040516に挑戦するなんて、おそれおおいかな?


 ところが、狩人Bも一言一句違わず完璧に同一のことを考えていた。(爆  ――そんなことはとっくに知ってたはずなのに〜; ;
 したがって、この契約の履行は、石の交換(右下の欄)に終わった。2人全体にとって骨折り損となったわけである。(GAME OVER!) ――振り出しに戻る......。w
――Nash均衡(最適対応戦略の均衡)って言うらしいね >>経済学
――囚人のジレンマではNash均衡が1つしかないのね。
――チキン ゲームでは2つあるよw。
――囚人のジレンマで仮にK-Kの危うい均衡が成立つとして、
    "囚人のmind均衡"
――とでも名付けておきましょうかwww。発明者の特権として。ガシッツ!!


......☆互いに信頼さえできていれば、2人全体の利益の総和を最大にできたのに......。
――パレート最適、って言うらしいね >>経済学

 (図 ――狩人ら全体の利益総和)
  狩人のジレンマの図での、2人全体の利益の総和
A:    B: K       U
K       10       0

U        0      -4


 (図 ――狩人らの利益差分)
  狩人のジレンマの図での、2人の利益の差分
A:    B: K       U  ――Bから観ると符号逆
K        0     -18

U       18       0
     

―― 最近、どこかの先生が進化生物学の学生に 繰返しの囚人のジレンマ をplayさせてみたところ、
    どの組も あっという間に UUに均衡 して シマッタ;
というのが笑えるというか怖い話なのだが、
――「頭の良い」人々ほど「UU均衡を当然だ」と考える傾向がある?
――「ゲーム脳」とは、無意識的に、あらゆるゲームをゼロサムゲームとして認識してしまう脳のことなのだろうか??
――やはり、もっとジャンケンに真面目に取組んでもらえるように伝道して行かなければ......。id:mind:20040410


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どうです?
ジャンケンの複雑さid:mind:20040330との関係も少しづつ観えてきたでしょう?
ジャンケン軽んずべからず。
ジャンケンで平和を!!! RPS for PEACE!!! PEACE from RPS!!! R,P,S form PEACE!!!
世界ジャンケン大会、五輪よりも侮れませぬな。www
とりあえず、五輪の正式種目にジャンケンを!!!